The Slits - "Cut" 1979

バイオレットがベースのジャケット色というのはありそうでないと思う。

発売当時、音楽誌で彼女たちの「お騒がせ」なインタビュー記事がぽこぽこっと出ていたので気になって買ってしまったのだ。そして、当時のポストパンク系(あの頃はこんな言葉はなかったけどね)のレコードの中ではいまだに残る一枚となった。

どっちかっていうとポップグループのほうがあのときは評判が高く、このアルバムも音楽誌でまともに評価された記事がなかったように思う。

他のグループがこぞってインディペンデンスレーベルで音源を垂れ流す中、彼女たちは名門アイランドと契約し、デニス・ボーヴェルをプロデューサーに迎え入れた。ヴィヴだったかアリだったかが、自分たちがメジャーと契約した正当性をかなりシリアスかつ冷静に話していたように記憶している。

しかし政治的軋轢は結構あったようで、デビューシングルも会社側が"I Heard It Through The Grapevine"を推したのに対しかなり強引に主張して"Typical Girls"としたようだ。

その後、ラフトレードに移籍するが、素晴らしいシングルをポップグループとカップリングで出したものの、肝心のオリジナルアルバムはブートレグまがいのものだけでCBSに移籍してしまう。

彼女たちの音楽に対するダイナミックな姿勢を真摯に受け止められるメディアが当時はまだなかったのかもしれない。

パンク出身のグループたちが試行錯誤の渦の中で沈滞化する中、アイデンティティを維持しながら新しい音を模索するさまがこのアルバムには克明に記録されている。レゲエを基盤としながらも、バッジーの独創的なドラムが陳腐化に陥らずうねるリズムを生み出している。

そしてバックボーカルが無性にキュートなのだ。女の子たちが無邪気におしゃべりに興じているような感じ。


「かわいいからミニスカートを着てる」コを見て、「視線誘導するほうが悪い」などとほざくティピカルボーイズには永遠にわからん感覚だろうな。

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